こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、日本最大規模のお城の祭典「お城EXPO 2022」を再び取り上げましょう。
家康の城攻めの採点は?家康を苦しめた一揆とは?「お城EXPO 2022」厳選プログラム!です。
■お城EXPO
2022年も盛大に開催された「お城EXPO 2022」。
会場のパシフィコ横浜にたくさんのお城好き・歴史好きが集まりました。
前回はその模様を、会場内の展示ブースを中心に紹介しました。
日本各地のお城PRブースや長野剛武将イラスト原画展など見どころ満載…。
ただ、「お城EXPO」の楽しみはお城にまつわる資料展示だけではありません。
お城のスペシャリストによる特別講義「厳選プログラム」も大きな魅力の一つです。
展示ブースもそうでしたが、この厳選プログラムも徳川家康に関するテーマが多かった…。
これはやはり、来たる大河ドラマ「どうする家康」への期待に応えたものでしょう。
今さらながら、家康に対する興味関心が高まってますもんね。大河パワーおそるべし…。
今日は、そんな家康満載の講演の中から、個人的に「城熱」が高まったプログラムをピックアップして紹介しましょう。
■家康の城攻めを採点する
まずは、お城研究の大家・小和田哲男先生による講演「家康の城攻めを採点する」。
もうこの講演タイトルで、城好きあるいは家康ファンは必聴でしょう…。小和田先生は「どうする家康」の時代考証も務めています。
17歳の初陣から73歳の大坂夏の陣まで、戦いに明け暮れた徳川家康…。その中でポイントとなった城攻めを考察・評価するという内容。
知ってる戦いも知らない戦いも出てきました。天下取りしたから連戦連勝かと思いきや、結構負けてるんですよね…。
三方ヶ原で武田信玄に完敗したのは有名ですが、その後犬居城の戦いでも武田方に敗北しています。
それに続く高天神城攻めには7年もかかったり、それに先立つ今川氏真の籠城する掛川城を落とせなかったり。この辺りは、あまり知られてない内容でとても興味深い…。
小和田さん曰く「家康は城攻めが苦手だった。むしろ野戦を得意としていた」。
実際に関ヶ原の戦いでは、石田三成は大垣城での籠城決戦を画策していましたが、家康はそれをスルー。野戦に適した関ヶ原へ、三成ら西軍をおびき出しました。
大阪冬の陣でも、大阪城を力攻めで落とせず講和。堀を埋め立ててから、夏の陣で落としました。
次から次へ興味深いネタが飛び出します。さすが小和田先生…。ちなみに、「家康の城攻めを採点すると、平均すると60~70点くらい」ということでした。
■三河一向一揆と松平家康
続いて、こちらも「どうする家康」の時代考証を務める平山優先生の厳選プログラム。
こちらは「三河一向一揆と松平家康」と、なんとも玄人好みするような講演テーマです。
ただ、この三河一向一揆は、三方ヶ原の戦い、伊賀越えと並ぶ、家康の三大危機の一つに数えられる重要な戦いです。
まだ家康が「松平」姓を名乗っていた新進気鋭の頃、領内で一向宗徒が蜂起すると、家康の家臣の多くもこれに加担。瞬く間に西三河が戦場と化しました。
不明な点の多い一揆ですが、平山さんが過去の史料を丁寧に紐解き、なぜ起きたのか、その歴史的な意義などを明らかにしていきます。
特に、当時西三河で起きた一見無関係な事件を、ある仮説に基づいて共通性を見出し、「同じことを語っているのではないか」と指摘する様は秀逸…。
同時期に反家康派の武将も蜂起したことから、反家康三河一揆だという説が有力ですが、平山先生はこれを真っ向から否定します。
むしろ、当時の家康を取り巻く環境や三河一向宗の特殊性などを詳細に解析。武家と寺院の確執というべき本質的な問題をあぶり出しました。
結局、この戦は和睦により終焉しますが、しばらくして家康は一向宗寺院を破却、それまで認めていた寺内町の特権を廃止しました。
特別待遇を許さない家康の毅然とした態度が見えるようです。この一揆で家康は数々の辛酸をなめながらも、人間として大きく成長したのかもしれません。
他にも、「城から考える徳川家康」や「家康の城と戦略」「”戦い"の城の歩き方~徳川vs武田の攻防」など、興味深いプログラムが盛り沢山。
おかげさまで、「どうする家康」の視聴体制は整いました。ドラマではどんな家康が描かれるのか…期待の高まる「お城EXPO 2022」となったのでした。
ありがとう、「お城EXPO 2022」! いざ、「どうする家康」!