家康を辿る城旅「横須賀城」!高天神城攻略の拠点、玉石積みが美しい名城

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

全国の城や史跡をぶらり旅する「夢中図書館 いざ城ぶら!」。現在、家康を辿る城旅を展開中…。
今日の夢中は、家康を辿る城旅「横須賀城」!高天神城攻略の拠点、玉石積みが美しい名城です。

■家康を辿る物語

戦国時代末期、遠江の地をめぐって、徳川家康と武田勝頼が争奪戦を繰り広げました。
特に激戦となったのは、「高天神を制するものは遠州を制す」と称された高天神城です。

天正2年(1574)武田勝頼が当地に侵攻し、徳川方から高天神城を攻め取ります。
一方、徳川家康はその奪還をめざして、遠江横須賀後に前線基地(付城)となる横須賀城を築城します。

築城を命じられたのは大須賀康高。その配下の将とともに「横須賀衆」と呼ばれ、高天神城攻略の中心を担いました。
天正8年(1580)横須賀城が完成。さらに家康は周囲に6か所の砦(高天神六砦)を築いて、武田方の物資補給を遮断しました。

天正9年(1581)追い詰められた高天神城は、城主・岡部元信が城兵と共に乾坤一擲の突撃を敢行。
康高ら横須賀衆がこれを迎え撃ち、多くの首級をあげました。これにより高天神城は落城、再び徳川方の城となりました。

■横須賀城をめぐる(その1)

家康を辿る城旅。今日は、徳川家康が高天神城攻略の拠点とした横須賀城をめぐりましょう。

横須賀城は、かつての遠江国横須賀、現在の静岡県掛川市西大渕に築かれました。
いま当地を訪れると、そこは民家が立ち並ぶ閑静な町。そんな普通の町のなかに、横須賀城の遺構があります。

民家の建ち並ぶ脇を少し入ると、この町に同化したような中世の城跡が現れます。
その佇まいは、とても独特でチャーミング…。高天神城攻略の前線基地に対して失礼な表現ですが、その印象は丸っこい石垣に起因しています。

これこそが、横須賀城の最大の特徴である、丸っこい自然石を積んだ「玉石積み」という石垣。
石垣と言えば、どでかい角張った石をギッシリ積み重ねているものが多いですよね。

それが「男性的」な硬派な石垣とすれば、こちらは明らかに丸くやさしい「女性的」な石垣
これは、近くでどでかい花崗岩などが入手できずに、川石を使うしかなかったためと考えられます。

実は、この横須賀城のあった場所は、今でこそ家々が立ち並んでいますが、当時は城の手前まで海が深く入り込み、三方が入江と沼や深田に囲まれた天然の要害の地でした。
築城を命じられた大須賀康高は、海に流れ込む大井川河口の石を使って、石垣を造ったと考えられています。

この玉石積みで守られた頂上部が本丸跡。ここには天守が建っていました。
今は天守台跡を示す礎石を残すのみですが、かつては4層の天守があったそうです。遺構調査では、天守に使われた瓦が多量に出土しています。

天守台から望む景色はこんな感じです。かつては、すぐ手前まで海だったんですね…。
出丸のような曲輪もあります。有事のときは、ここから眼下の敵に攻撃を仕掛けたのでしょう。

■横須賀城をめぐる(その2)

本丸を降りて、天守の裏手に回ってみると大きな広場があります。
今はフィールドゴルフで使用されているみたい。ここは、元は北の丸があったところ。いくつか建物跡が確認されています。

さらに、その右奥は、松尾山と呼ばれる小高い山があります。
ここは、横須賀城の東端、すなわち武田側に向いた重要な防衛拠点になります。

遺構調査では、櫓台に使用されたと思われる礎石が見つかり、ここに多門櫓があったものと推定されます。
多門櫓とは、塀のように城の縁に建てられた長屋上の建物で、外部からの侵入を防ぎ攻撃する目的がありました。ここで武田方の高天神城と睨み合っていたんですね…。

他にも、三ノ丸跡や二の丸跡などもあり、今も発掘調査が進んでいます。
思いのほか広いんですよね。家康にとっては、高天神城攻略の拠点であっただけでなく、遠州支配の重要な地でした。駿府や浜松にも近いし、東西をつなぐ要衝の地ですもんね。

そんな横須賀城ですが、功のあった大須賀氏らが城主を務め、江戸時代末期まで続きます。
明治2年(1868)に廃城。城内の土地や石垣などは民間に払い下げられましたが、城跡消滅の危機に住民から保存の声が上がり、昭和56年(1981)国の史跡に指定されました。

こんな貴重な城跡がなくらならないで、本当に良かった…。
最後は、他に類を見ない「玉石積み」の美しい石垣をもう一度眺めながら、帰路に着きました。

今日の家康を辿る城旅は、徳川家康が高天神城攻略の拠点とした「横須賀城」。
自然石を積んだ「玉石積み」がとてもチャーミングな名城でした。

ありがとう、横須賀城! ありがとう、玉石積みの城!

■基本情報

名称:横須賀城跡
所在地:静岡県掛川市松尾町
アクセス:(1)袋井駅からバスで20分 (2)東名掛川ICから車で30分 (3)掛川駅からバスで55分 (4)東名袋井ICから車で20分


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