家康の父・松平広忠ゆかりの史跡めぐり「小豆坂古戦場跡」「大林寺」「松應寺」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

全国の城や史跡をぶらり旅する「夢中図書館 いざ城ぶら!」。現在、家康を辿る城旅を展開中…。
今日の夢中は、家康の父・松平広忠ゆかりの史跡めぐり「小豆坂古戦場跡」「大林寺」「松應寺」です。

■家康を辿る物語

家康の父、松平広忠…。その後半生は、織田氏との戦いに費やされました。

「尾張の虎」と呼ばれる織田信秀が、松平氏の弱体化に乗じて三河に進出。
広忠率いる松平勢は、幾度となく織田軍と合戦を繰り広げますが、やがて父祖伝来の安祥城を奪われます。

勢いに乗る織田軍は、岡崎城を武力で攻略するために兵を進めます。
戦いは広忠に厳しいものとなりました…。一説には、このとき広忠は織田軍に降伏、そのために嫡男・竹千代を人質に差し出したという見方があるほどです。

強大な織田軍との激戦を重ねるなかで、広忠は心身ともに憔悴していきました。
織田・今川の激戦「小豆坂の戦い」が繰り広げられた翌年…。天文18年(1549年)3月、松平広忠死去。死因は病死とされていますが、暗殺説もあります。享年24歳。

■小豆坂古戦場跡

今日の城ぶら「家康を辿る城旅」は、家康の父・松平広忠ゆかりの史跡をめぐりましょう。

はじめに訪れたのが、織田氏と今川氏・松平氏連合軍が激しく戦った「小豆坂古戦場跡」
いまは宅地開発された市街地の一角に、古戦場跡の記念碑や鎗立松の碑、血洗池跡の碑などが建立されています。

(左:小豆坂古戦場跡、右:古戦場跡の碑)

天文17年(1548年)に行われた戦いでは、織田信秀が4000の兵を率いて、岡崎城近くまで来襲
これに松平広忠軍と、松平氏救援のために駆け付けた今川義元の軍師・雪斎が1万の兵が対峙。「小豆坂」で激戦となりました。
はじめは織田軍優勢でしたが、今川軍の伏兵策が功を奏し、織田軍を撃退しました。

(左:血洗池跡の碑、右:鎗立松の碑)

なお、近年の研究では、この合戦のとき岡崎城と松平広忠は織田方であったという説があります。
それによると、これに先立つ半年前に、織田氏によって岡崎城が陥落していたといいます。

たしかに兵の動きを見ると、広忠が織田方にあったと考えた方が得心がいくことが多いのも事実。
だとすると、この「小豆坂の戦い」で今川氏が勝利した後に、広忠は今川方に復帰した…ということになります。

■松平広忠の墓

独力では生き残れない小大名の悲哀のようなものを感じますね…。
精神的な負担も相当に大きかったことでしょう。小豆坂の戦いの翌年、松平広忠はこの世を去りました。享年24歳…。

広忠のものとされる墓は、岡崎の地にいくつかあります。
まずは、岡崎城の北にある「大林寺」。家康の祖父・松平清康が当地に移転建立、城の北側を守る拠点としたとされます。

(大林寺)

境内には、その松平清康の墓や清康夫人の春姫の墓があります。
その子で家康の父・松平広忠の墓も、清康の墓のすぐ隣りに祀られていました。案内板には、広忠の遺骸を当地に移し、後に火葬に附して遺品を境内に納めたと記されています。

(左:松平清康の墓、右:松平広忠の墓)

さらに北にあるのが「松應寺」。こちらにも松平広忠の廟所があります。
広忠が岡崎で命を落とした後、そのなきがらを密葬したのがこの地であったと伝わります。

(松應寺)

人質生活を送っていた家康(竹千代)は、尾張から駿府に移る際に当地を墓参し、小さな松を植えて松平家の繁栄を願いました。
後に岡崎城主となった家康が再び当地を訪れ、手植えの松が立派に伸長していたのを見て「わが祈念に應じる松なり」として「松應寺」と名付けたのだとか。

(松平広忠公廟所)


なお、松平広忠の死因は病死とされていますが、岩松八弥により殺害されたという説や、一揆により殺害されたという説もあります。
名著「徳川家康」(山岡荘八)では、岩松八弥による殺害説をとっていました。怨恨を募らせていた八弥が主君に斬りかかったというもの。「岡崎領主古記」などの古書に記載されている説です。

江戸幕府の公式史書「徳川実紀」にも、八弥による広忠襲撃の記載があります。しかし、それで死亡したとは書かれていません。
「三河物語」や「松平記」などでは病死とされています。はてさて、真相はいかに…。いずれにしても享年24歳…あまりにも早い死でした。

■基本情報

【小豆坂古戦場跡】
住所:愛知県岡崎市戸崎町牛転38
アクセス:名鉄「男川」駅から徒歩13分
営業時間:24時間

【大林寺】
住所:愛知県岡崎市魚町1丁目6
アクセス:名鉄「岡崎公園前」駅から徒歩16分
営業時間:24時間

【松應寺】
住所:愛知県岡崎市松本町42
アクセス:名鉄「岡崎公園前」駅から徒歩23分
営業時間:24時間

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