家康を辿る城旅「大高城」!桶狭間の前哨戦…家康決死の"大高城兵糧入れ"

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

全国の城や史跡をぶらり旅する「夢中図書館 いざ城ぶら!」。現在、家康を辿る城旅を展開中…。
今日の夢中は、家康を辿る城旅「大高城」!桶狭間の前哨戦…家康決死の"大高城兵糧入れ"です。

■家康を辿る物語

永禄3年(1560年)5月、ついに尾張侵攻を開始した今川義元
松平元康(後の家康)は、1000余りの兵を率いて、その先鋒を務めることとなりました。

向かったのは、大高城…。今川方の城ながらも尾張国知多にある、最前線の城でした。
織田軍に包囲されている大高城は兵糧が枯渇していました…。城主・鵜殿長照からの必死の訴えを受けて、元康に兵糧入れが命じられたのです。

大高城は織田の軍勢に周囲を囲められており、それは至難の任務と思われました。
しかし元康は、巧みな陽動策で織田勢を引き付けると、隙を突いて大高城への兵糧入れを成功させました。

さらに翌日には、織田方の丸根砦を攻撃して陥落、敵将の佐久間盛重を討ち取る武功を挙げます。
気を良くした義元は、元康に鵜殿長照と交替して、大高城の守備にまわるように命じました。

結果的にこのことが、家康の命を救うことになります。その日は、永禄3年(1560年)5月19日。
織田信長が今川義元本陣に奇襲をかける、桶狭間合戦の日でした…。

■大高城

それでは、桶狭間の前哨戦の舞台となった「大高城」を訪れましょう。
当時、今川方の武将だった松平元康(後の家康)が兵糧入れを行ったことで知られる城です。

その城があったのは、尾張国知多郡大高村。現在の愛知県名古屋市緑区です。
いま城跡は大高城址公園として整備されており、いくつか遺構が残っています。

「大高城跡」の石碑が建つ脇の坂道を上っていくと、眼前に広がる広々とした台地。
ここが本丸跡と考えられます。一段高いところに城山八幡社が建立されていますが、往時はここに城主が座していたのかもしれません。

この本丸跡と土橋でつながっているのが、二の丸跡と考えらる曲輪跡です。
こちらも広大な平地となっていて、端の方に行くと街並みを見下ろすことができます。

この本丸と二の丸の間に築かれているのが、大きな空堀です。
これが圧巻…。深さが5~6m、幅は10m以上あります。当時は二重の空堀を巡らせたと伝わるので、もう一つ空堀があったのでしょう。

これは、なかなかに防御の固い城に見えます。ここが桶狭間の前哨戦の舞台となりました。
今川方の手に落ちた大高城を奪還しようと、織田信長は「丸根砦」と「鷲津砦」を築いて城を圧迫したのです。

■丸根砦・鷲津砦

織田信長が築いた「丸根砦」と「鷲津砦」にも足を運びましょう。
大高城跡から歩いてまわれます。信長はここに兵を入れて、大高城にこもる鵜殿長照を圧迫、兵糧攻めしました。

まずは「丸根砦」へ。宅地化の進むエリアにある小高い丘陵部…。
そこに砦跡を示す「史蹟 丸根砦址」の石碑が建っています。また丘陵部の頂には、「丸根砦戦殉難烈士之碑」と刻まれた慰霊碑もありました。

この丸根砦は、大高城の東800mほどに位置します。
同地から西をのぞむと、大高城跡を見ることができます。これは一触即発ですね…。

続いて「鷲津砦」へ。こちらは大高城の北東約700m、丸根砦からは約600mの位置にあります。
こちらにも「史蹟 鷲津砦址」の石碑が建っています。周囲には空堀跡と思しき遺構も。

これは大高城の鵜殿長照もきつかったことでしょう…。
両砦によって近隣の鳴海城との往来を完全に遮断され、兵糧も尽きて絶体絶命…。

その危機を救ったのが松平元康でした。織田方の包囲網をかいくぐって大高城に兵糧入れを成功させます。
さらに元康は丸根砦に攻撃を仕掛け、織田方の佐久間盛重ら将兵を壊滅させました。同時に鷲津砦にも今川方の朝比奈泰朝が襲いかかり、こちらも織田方の殲滅に成功しています。

この戦勝により、元康は長照の代りに大高城の守備を命じられます。
このことが結果的に元康(家康)の命を救うことになりました。そうです…このとき信長の眼は、桶狭間にいる今川義元の首、その一点に向けられていたのです。

桶狭間の戦いについては、次回の「夢中図書館 いざ城ぶら」で語ることにしましょう。

■基本情報

【大高城跡】
住所:愛知県名古屋市緑区大高町城山
アクセス:JR大高駅から徒歩10分
営業時間:24時間

【丸根砦跡】
住所:愛知県名古屋市緑区大高町丸根
アクセス:JR大高駅から徒歩15分
営業時間:24時間

【鷲津砦跡】
住所:愛知県名古屋市緑区大高町鷲津山
アクセス:JR大高駅から徒歩5分
営業時間:24時間

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