義時・泰時の血を引く5代執権・北条時頼は良い人悪い人?時頼ゆかりの「建長寺」「明月院」へ

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館長のふゆきです。

全国の城や史跡をぶらり旅する「夢中図書館 いざ城ぶら!」。いま「鎌倉殿の13人」に夢中…。
いざ鎌倉殿ゆかりの地へ!今日の夢中は、義時・泰時の血を引く5代執権・北条時頼は良い人悪い人?時頼ゆかりの「建長寺」「明月院」へ…です。

(5代執権・北条時頼の廟所のある「明月院」/神奈川県鎌倉市)

■北条と三浦を継いだ者たち

鎌倉幕府開設以来の雄族、北条氏と三浦氏との武力衝突「宝治合戦」(宝治元年/1247年)。
北条氏を率いたのは5代執権・時頼、三浦氏を率いたのは泰村・光村兄弟でした。

いずれも、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の登場人物の子孫。
時頼は2代執権・北条義時(演:小栗旬)のひ孫、泰村・光村は三浦義村(演:山本耕史)の子です。

なんで、両者にこれほど代の差があるかというと、北条氏の後嗣が早く身まかったため…。
義時の子・泰時(3代執権)の嫡男で、次期執権と目されていた時氏が28歳にして病のため死去。のちに泰時も死去したため、4代執権の座に就いたのは、時氏の子(泰時の孫)の経時でした。

このとき経時は19歳…。さらに経時も病弱だったため、間もなく亡くなります(享年23)。
そして経時から執権を譲られたのが、弟の時頼でした。このとき20歳。なので、この宝治合戦は、青年の北条執権と、壮年(中年?)の三浦兄弟が戦ったことになります。

若い時頼は三浦氏と和解を模索したと言われますが、その時頼に強硬に三浦討伐を説いたのが安達景盛でした。
安達景盛は、源頼朝に流人時代から仕えた藤九郎盛長の子。盛長はドラマでは温厚なひとと描かれていたので、その子孫が主戦論を展開したとは不思議な感じですね…。

大河ドラマを見てから、こうして後の鎌倉時代を見ると、今まで関心の無かった人物や事件が突然色めきだって迫って来ます。
これもドラマの効果なんだろうな…。鎌倉殿ロスなんて言ってる場合じゃありませんね。

■建長寺

北条時頼については、「名君」と評価する専門家もいれば、「良い人だか悪い人だか分からない」という声もあります。
この辺りは、さすがは義時と泰時の血を引いたひと…。一筋縄ではいかない人物だったんでしょうね。

ただ、三浦氏などの反北条勢力を一掃したことにより、鎌倉に平穏をもたらしたことは事実。
その安定的な権力基盤を背景に、一大禅宗寺院の建立に乗り出します。それがいまも鎌倉に残る「建長寺」です。

(左:総門、右:三門)

時頼は深く禅宗に帰依していたとされます。建長寺建立に先立つ宝治2~3年(1248-49年)には、曹洞宗の開祖・道元を鎌倉に招いています。
その時期も興味深いですね…。直前に宝治合戦という内部抗争を経験したことが、彼の心に何らかの影響を与えたのかもしれません…。

(左:半僧坊、右:唐門)

時頼は中国の宋から僧・蘭渓道隆を招いて、建長5年(1253年)建長寺を開山しました。
当時は珍しい1寺1宗の禅寺。それだけ時頼の信仰も強かったのでしょう。本尊の地蔵菩薩には、迷いの中から救い悟りを得るという時頼の願いが込められています。

(左:仏殿、右:本尊地蔵菩薩)

■北条時頼の廟所

時頼は、この建長寺創建から3年後、執権職を譲って出家します。
しかし、その後も幕府の実権を握り続け、この引退出家は朝廷と同じ院政という政治体制をつくり上げることが目的だったと思われます。

これにより、幕府の公的な地位である執権よりも、北条氏の私的な地位に過ぎない北条嫡流「得宗家」に権力が集中することになりました。後に言う「得宗専制」のはじまり…。
北条氏によって、源氏将軍が名ばかりのものとなり(時頼の代には全く源氏の血を引かない親王将軍を擁立しています)、さらに北条得宗家によって、執権職が形骸化されました…。

(明月院 本堂)

「北条あっての鎌倉か、鎌倉あっての北条か」。大河ドラマのセリフがむなしく頭をよぎりました。
北条時頼は弘長3年(1263年)、自身が創建した「最明寺」で息を引き取りました。

吾妻鑑には、時頼の病気悪化を示唆する記事があり、病死だったと思われます。
信心深い時頼は、死期が迫ると最明寺に向かい、そこで座禅を組んだまま息を引き取ったと言われます。

享年37歳。時頼の廟所は、その最明寺を前身とする鎌倉「明月院」にあります。

(左:北条時頼廟所、右:北条時頼の墓)

■基本情報

【建長寺】
所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内8
アクセス:JR北鎌倉駅から徒歩15分
営業時間:8:30~16:30

【明月院(北条時頼の墓)】
所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内189
アクセス:JR北鎌倉駅から徒歩10分
営業時間:9:00~16:00

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