城ぶら「大蔵館跡」!源氏一族の相克はかくも激しく…源義仲生誕の地

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

街あるき好きにして、歴史好き。
そんな人たちにとって最高の旅。それが城めぐりのぶらり旅、略して「城ぶら」です。

今日の夢中は、埼玉県嵐山町にある源氏一族の史跡「大蔵館跡」です。

■城語り

まずは、物語りならぬ城語り(しろがたり)から。

源義賢(よしかた)は、河内源氏の棟梁・為義の次男。
保延5年(1139)、後に近衛天皇となる皇太子を警護する帯刀の長となり、帯刀先生(たてわきせんじょう)と呼ばれるほどの実力者でした。

しかし部下の不始末によって失職すると、北関東の武蔵国(埼玉県)に下ります。
そこで、当地の最大勢力である秩父氏と結ぶと、武蔵大蔵の地に城館を構えました。やがて義賢はここから北関東に勢力を伸ばしていきます。

この義賢の伸長を恐れたのが、兄の源義朝(よしとも)でした。
南関東から東国を支配しようとする義朝にとって、北関東に本拠を置く義賢の存在は目障りでしかありませんでした。

久寿2年(1155)、義朝は息子・義平に命じて、義賢のいる大蔵館を急襲(大蔵合戦)
この戦によって、源義賢は秩父重隆(秩父氏の棟梁)と共に討ち取られました。

このとき、義賢の子で2歳の駒王丸は、大蔵館から密かに信州木曽に逃されました。
この駒王丸こそ、後の源(木曽)義仲。平安末期に歴史の表舞台に登場する英雄でした。

■城ぶらり

それでは、源義仲の生誕地にして源氏相克の地「大蔵館跡」をぶら歩きしましょう。

「大蔵館跡」は、源義仲の父義賢が北関東に築いた居館です。
それは、今も地名の残る埼玉県嵐山町「大蔵」の地にありました。

静かな住宅地の一角に、こんもりと盛られた剥き出しの土の台地…。
ここが「大蔵館跡」とされる場所です。今は「大蔵神社」が鎮座しています。

現存する遺構から推定すると、館の規模は東西170m、南北220m
発掘調査では、柱穴列や堀立柱の建物跡などが確認されています。

境内や周囲には、土塁や空堀と思しき遺構も見られます。
敵方の襲撃に備えていたものの、身内である源義平の急襲により陥落。義賢は命を落としました。

その源義賢の墓が、ここからほど近いところにあります。
堂内には鎌倉様式の五輪塔が収められています。義賢もその一族も無念だったでしょうね…。
この墓は、義賢ゆかりの人々が供養のために建立したものと考えられます。

■もっと城ぶら

最も無念だったのが、その子・駒王丸、後の源義仲だったかもしれません。

義仲は、大蔵館で誕生したと考えられます。
鎌形八幡神社境内に湧き出す清水は、義仲の産湯に使用されたと伝えられています。

大蔵の地で生命を受けた義仲ですが、2歳の時に、父義賢が甥の義平に討ち取られます。
義仲は、畠山重能と斎藤実盛に助けられ信濃木曽に送られ、その山中にかくまわれました。

時が過ぎて治承4年(1180)、以仁王が全国に平家打倒の令旨を発すると、成人した義仲は信濃で挙兵します。
その後、越後から北陸へと攻め上り、10万の平家軍を打ち破り、ついに京に入りました。

一時は都を手中に収めた義仲ですが、彼も源氏一族の相克に巻き込まれ命を落とします。
彼の前に立ちはだかったのは、父を殺した義平の弟・源頼朝。寿永3年(1184)頼朝は京に義仲打倒の兵を派遣します。義仲はその戦いに敗れ討ち死に、31歳でこの世を去りました。

さらに悲劇は続きます。このとき義仲の嫡男義高は、頼朝の長女大姫の婿として鎌倉にいましたが、頼朝から殺害命令が下されます。
義高は逃亡を図りますが、途中で頼朝の追っ手に捕まり、討ち取られました。享年12歳…。

義仲・義高の菩提を弔う寺が「班渓寺」(はんけいじ)です。
義仲の妻で、義高の母とされる山吹姫によって創建されたと伝わります。2人の非業の死を聞いた彼女の心の痛みはいかほどだったでしょう…。

今日の城ぶらは、埼玉県嵐山町にある源義賢・義仲ゆかりの史跡をめぐりました。
源氏一族の相克のあと…。今に残る史跡は、その激しさと虚しさを伝えています。

義仲・義高が誅殺された後も、源氏一族の相克は続きます
ライバルを討ち滅ぼし、源氏の棟梁の座を手中にした頼朝は、その矛先を身内に向けていくのです…。

■基本情報

【大蔵館跡】
所在地:埼玉県比企郡嵐山町大蔵522
アクセス:東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩で20分

【源義賢墓】
所在地:埼玉県比企郡嵐山町大蔵66
アクセス:東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩で20分

【鎌形八幡神社】
所在地:埼玉県比企郡嵐山町鎌形1993
アクセス:東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩で40分

【班渓寺】
所在地:埼玉県比企郡嵐山町鎌形1907
アクセス:東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩で40分

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